令和6年度 渋川医療センター病院情報の公表

病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)

医療の質指標

  1. リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率
  2. 血液培養2セット実施率
  3. 広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率
  4. 転倒・転落発生率
  5. 転倒転落によるインシデント影響度分類レベル3b以上の発生率
  6. 手術開始前1時間以内の予防的抗菌薬投与率
  7. d2(真皮までの損傷)以上の褥瘡発生率
  8. 65歳以上の患者の入院早期の栄養アセスメント実施割合
  9. 身体的拘束の実施率
年齢階級別退院患者数 ファイルをダウンロード
年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 10 75 114 98 214 560 1181 2653 1554 366
当院の最も多い年齢階級層は70代で全体の約39%、次いで80代で約23%、60代で約17%となっています。60代から80代の年齢階級のみで全体の約79%を占めている状況です。(90代の区分には90代及び100歳以上の患者さんが含まれています。)
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで) ファイルをダウンロード
消化器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
060100xx01xxxx 小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む。) 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 439 2.07 2.57 0.00 72.15
060340xx03x00x 胆管(肝内外)結石、胆管炎 限局性腹腔膿瘍手術等 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 89 12.01 8.88 4.49 77.98
060102xx99xxxx 穿孔又は膿瘍を伴わない憩室性疾患 手術なし 37 8.70 7.60 5.41 70.43
060050xx03xxxx 肝・肝内胆管の悪性腫瘍(続発性を含む。) 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等) 選択的動脈化学塞栓術 24 12.42 10.22 4.17 76.00
060390xxxxx0xx 細菌性腸炎 手術・処置等2 なし 22 7.68 7.42 0.00 48.68
消化器内科において最も入院患者数が多い疾患は、内視鏡的大腸ポリープ切除後の入院の患者です。当院ではポリープ切除後の経過観察目的に1泊2日入院パスを使用しています。2番目に多い疾患は、胆管結石・胆管炎の患者です。側視内視鏡を用いた胆管炎症例の緊急ドレナージや、総胆管結石の排石、悪性胆道狭窄に対する金属ステント留置術を行っています。3番目に多い疾患は大腸憩室出血や憩室炎の入院の患者です。出血に対しては緊急内視鏡を行い、止血術も行っています。4番目は肝細胞癌のTACE、特にB-TACE(バルーン閉塞下経カテーテル的肝動注化学塞栓療法)治療の患者です。5番目は感染性胃腸炎の入院患者です。
呼吸器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
040040xx99040x 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 4あり 定義副傷病 なし 176 6.60 8.16 0.57 72.84
040040xx99070x 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 7あり 定義副傷病 なし 91 4.56 9.50 0.00 70.35
040040xx9910xx 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1 あり 手術・処置等2 なし 85 4.28 3.03 2.35 73.00
040110xxxx00xx 間質性肺炎 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 67 22.97 18.68 11.94 75.96
040040xx99090x 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 9あり 定義副傷病 なし 64 5.70 8.10 0.00 72.84
呼吸器内科では、原発性肺癌を中心に診断・治療を行っている。原発性肺癌の診断に必要な気管支鏡検査、CTガイド下経皮的肺・胸膜生検、ガイドシース併用気管支腔内超音波を用いた肺生検、超音波気管支鏡を用いた縦隔・肺門リンパ節生検や局所麻酔下胸腔鏡検査を日常的に迅速に行い、胸部異常陰影に対する診断率を高めている。最近では、検査に伴う苦痛を少なくする目的で鎮静下で気管支鏡検査を行っている。肺癌治療に関しては化学療法、放射線療法、手術療法を組み合わせた治療を中心に行われてきたが、近年は免疫チェックポイント阻害薬を併用した化学療法も多数行われ、良好な成績を認めており、当院では積極的に使用している。肺癌の終末期における緩和医療も当科の役割のひとつであり、緩和ケアチームと協力しつつ疼痛対策や精神的な援助等を行っている。
肺癌以外の疾患においては肺炎、慢性閉塞性肺疾患、気管支拡張症、非結核性抗酸菌症、気管支喘息、間質性肺炎等の各種呼吸器疾患を扱っており、近年肺癌以外の呼吸器疾患のしめる割合が増加している。さらにこれら疾患による低肺機能状態(慢性呼吸不全)に対する指導、薬物療法、呼吸リハビリテーションおよび在宅酸素療法なども積極的に行い、非癌性の呼吸器終末期医療にも力を入れている。2020年初めより始まったCOVID-19感染症においても、当科を中心に対応を行っている。
泌尿器科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
110080xx991xxx 前立腺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1 あり 190 2.34 2.45 0.00 71.32
110070xx03x0xx 膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 手術・処置等2 なし 142 6.49 6.81 1.41 76.04
110420xx02xxxx 水腎症等 経尿道的尿管ステント留置術等 87 2.75 4.07 6.90 75.53
11012xxx97xx0x 上部尿路疾患 その他の手術あり 定義副傷病 なし 64 3.09 7.30 3.13 80.41
11012xxx02xx0x 上部尿路疾患 経尿道的尿路結石除去術 定義副傷病 なし 48 6.02 5.16 0.00 64.63
昨今の高齢化社会の到来に伴い前立腺がん患者数が増加しています。その確定検査である前立腺生検目的に入院する患者数が非常に多いと思われます。特に2024年度は当院でもロボット支援手術を開始した影響でしょうか?患者数増に寄与した可能性があります。膀胱がんはもともと高齢者に多い癌であり、強度の血尿で辛い状況になり得ますので、合併症を有する高齢者でも手術に踏み切らざるを得ないケースが多いと思われます。一般的には、喫煙歴のある方、染料を扱う仕事に従事された方、鎮痛剤を乱用する方に多いことがわかっていますが、特に当院の場合、ご高齢女性の患者さんが多いように思われます。水腎症は尿路結石症や尿路上皮癌でしばしば発症します。特に尿路結石症の増加とともに尿管ステントを緊急留置する患者さんも増加ししています。患者さんによっては定期的な交換も必要で、入院患者数として増加しています。尿路結石は気温が上昇する初夏以降の半年間に多い印象です。尿路結石自体、泌尿器科の主たる疾患で入院患者さんの場合、尿管結石と膀胱結石の手術目的に入院される患者さんに分類されるようです。尿管結石では手術適応の結石最大径が概ね5㎜を超える場合としています。それ以下の小さな結石は自然排石します。尿路感染症は以前は冬季に多い疾患でしたが、昨今の温暖化に伴い脱水から容易に発症してしまう夏季の疾患へと変貌しつつあります。さらに昨今は寝たきりの患者さんに尿路感染症が増えてきている印象があります。
消化器外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
060160x001xxxx 鼠径ヘルニア(15歳以上) ヘルニア手術 鼠径ヘルニア等 100 4.93 4.54 0.00 72.25
060040xx99x4xx 直腸肛門(直腸S状部から肛門)の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等2 4あり 73 3.40 4.21 0.00 65.51
060040xx99x6xx 直腸肛門(直腸S状部から肛門)の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等2 6あり 64 4.59 4.59 0.00 54.66
060040xx99x5xx 直腸肛門(直腸S状部から肛門)の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等2 5あり 60 3.67 4.33 0.00 75.48
060035xx99x4xx 結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等2 4あり 55 5.73 4.18 0.00 71.15
消化器外科入院患者様の内訳は、主に胃癌、大腸癌などの悪性疾患に対する手術目的の患者様、鼠径ヘルニアや胆石胆嚢炎、急性虫垂炎などの良性疾患に対する手術目的の患者様、悪性疾患に対する薬物療法目的の患者様となっております。細かい内訳を見ると、最も多かったのが鼠径ヘルニア手術目的の患者様(70%以上を腹腔鏡下に施行)、2番目から5番目に多かったのはいずれも大腸癌(結腸癌および直腸癌)に対する薬物療法目的の患者様でした。大腸癌に対して反復して入院治療を行うことがあり、延べ患者数が多くなっています。
血液内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
130030xx99x5xx 非ホジキンリンパ腫 手術なし 手術・処置等2 5あり 59 24.08 19.30 5.08 72.90
130030xx99xBxx 非ホジキンリンパ腫 手術なし 手術・処置等2 Bあり 44 24.48 12.23 0.00 71.14
130010xx99x9xx 急性白血病 手術なし 手術・処置等2 9あり 27 11.63 12.45 0.00 78.11
130030xx97x50x 非ホジキンリンパ腫 手術あり 手術・処置等2 5あり 定義副傷病 なし 24 32.13 27.53 0.00 70.33
130030xx99x6xx 非ホジキンリンパ腫 手術なし 手術・処置等2 6あり 24 14.46 15.67 0.00 73.67
悪性リンパ腫は血液腫瘍(がん)の中で最も頻度の高い疾患です。大きくホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫に分かれ、日本人では約9割が非ホジキンリンパ腫になります。組織型や病期などにより治療内容が変わりますが、最も頻度の高いびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の標準療法はリツキシマブ併用CHOP療法(R-CHOP)および最近使用できるようになったポラツズマブベドチンを使用したPola-R-CHP療法です。次に頻度の高い濾胞性リンパ腫に対してはリツキシマブまたはオビヌツズマブ併用化学療法(ベンダムスチンまたはCHOP類似療法)が標準治療として多く行われております。ブレンツキシマブベドチンはホジキンリンパ腫、末梢性T細胞リンパ腫に対して初回化学療法との併用もしくは再発時に単剤で使用されます。化学療法による好中球減少症に対してフィルグラスチムが使用されます。また血管確保や持続的な抗がん薬注入などの目的で埋め込み型の中心静脈カテーテル留置が必要となることがしばしばあります。悪性リンパ腫の骨髄浸潤により血球減少を来している場合や出血、免疫学的破壊などにより輸血が必要となることがあります。急性骨髄性白血病で標準的な強力化学療法の適応がない場合、アザシチジン+ベネトクラクス併用療法やアザシチジン単剤療法が行われます。
脳神経外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
010230xx99x4xx てんかん 手術なし 手術・処置等2 4あり 75 3.80 5.90 0.00 32.93
010060xx99x40x 脳梗塞 手術なし 手術・処置等2 4あり 定義副傷病 なし 43 20.35 16.89 34.88 72.33
010230xx99x00x てんかん 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 28 9.18 6.89 7.14 45.14
160100xx99x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 17 15.35 7.99 29.41 78.94
010160xx97x00x パーキンソン病 手術あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 16 20.63 18.74 0.00 70.69
脳神経外科の入院患者で最も多いのはてんかんで、2021年7月からは群馬県のてんかん支援拠点病院に認定され、他の医療機関と連携を強化、2022 年4月よりてんかんセンターとして包括的てんかん診療を行っています。てんかんについては、ビデオ脳波モニタリング、高磁場MRI, 核医学検査などの詳細な病態解析を行って、新規抗てんかん薬を軸とした薬剤調整、てんかんコーディネーターによる患者教育、治療連携、生活支援を行っています。薬剤抵抗例には焦点切除術、脳梁離断術、迷走神経刺激療法等のてんかん外科手術を積極的に行っています。脳梗塞については3週間前後の加療の後、リハビリテーションを目的として近隣のリハビリテーション専門病院に転院されています。発症後短時間で搬送された患者にはアルテプラーゼを用いた血栓溶解療法を行います。脳卒中後、四肢の痙縮が強い症例についてはボトックス療法や髄腔内バクロフェン療法を導入しています。近年トピックスとなっている脳卒中後てんかんについては、積極的にビデオ脳波記録や画像解析を行い、抗発作薬の適正使用を心がけています。地域の特色として高齢者が多いため、転倒による頭部外傷から、硬膜下血種を呈し、救急搬送される症例が増えています。パーキンソン病や本態性振戦、ジストニアなどの神経難病については、当院のニューロモデュレーションセンターにおいて、定位的視床腹中間核凝固術、脳深部電気刺激などの高度な機能的定位脳手術と多職種連携による包括的治療により患者の日常生活能力の向上を図っています。
乳腺内分泌外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
090010xx02xxxx 乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わないもの) 43 6.05 5.50 0.00 60.93
090010xx99x4xx 乳房の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等2 4あり 40 2.03 3.64 0.00 61.70
090010xx010xxx 乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴うもの(内視鏡下によるものを含む。))等 手術・処置等1 なし 38 9.50 9.77 0.00 61.00
090010xx99x80x 乳房の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等2 8あり 定義副傷病 なし 16 2.00 3.58 0.00 62.38
090010xx99x9xx 乳房の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等2 9あり 11 2.82 4.83 0.00 61.45
乳癌の入院は手術入院では乳腺部分切除術+センチネルリンパ節生検が最も多く、次に乳房切除術が続く。抗がん剤治療は術前治療が最も多く、次に術後治療。さらに再発治療が続く。ここ数年は傾向は変わらない。
呼吸器外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
040040xx02x0xx 肺の悪性腫瘍 肺悪性腫瘍手術 肺葉切除又は1肺葉を超えるもの等 手術・処置等2 なし 87 10.25 9.82 1.15 72.74
040200xx01x00x 気胸 肺切除術等 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 17 8.00 9.59 5.88 41.59
040150xx97x0xx 肺・縦隔の感染、膿瘍形成 手術あり 手術・処置等2 なし 12 24.33 28.41 8.33 66.33
040030xx97xxxx 呼吸器系の良性腫瘍 手術あり - - 8.44 - -
040040xx9900xx 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし - - 13.41 - -
当院呼吸器外科での手術症例の56%が原発性肺がんであった。特徴としては、高齢者肺がんが多く、手術症例の20%が80歳以上であった。また以前は扁平上皮がんの占める割合が40%近かったが、現在ではその割合は20%で73%が肺腺がんであった。喫煙率の低下などが大きく影響していると思われる。もちろん現在でも進行した肺がん患者は多くいるが、当科での手術患者の実に75%が病理病期IA期の患者であり、手術患者の多くは肺がんを克服しているのが現状である。早期肺がんの増加はCT検診の普及や、肺がんにたいする意識の向上などが大きく寄与していると考えられる。現在の手術は完全鏡視下手術が主体で、ロボット支援下手術(ダビンチ)も積極的に当科では行っているが、症例個々に最適の手術を検討し提供している。また手術後の進行した症例に対しては、呼吸器内科で積極的な術後補助化学療法を行って頂き治療成績に努めている。気胸症例は、いわゆる若年者の自然気胸症例が少なく、高齢者の続発性気胸が多い。また高齢者の膿胸の手術例も多く肺がん手術例よりも入院期間が顕著に長くなっているのも当院の特徴の一つである。
整形外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
07040xxx01xxxx 股関節骨頭壊死、股関節症(変形性を含む。) 人工関節再置換術等 39 23.56 18.76 43.59 67.59
160800xx02xxxx 股関節・大腿近位の骨折 人工骨頭挿入術 肩、股等 16 28.94 25.29 56.25 80.75
070160xx01xxxx 上肢末梢神経麻痺 手根管開放手術等 11 6.09 4.24 0.00 68.82
160690xx99xxxx 胸椎、腰椎以下骨折損傷(胸・腰髄損傷を含む。) 手術なし 11 19.82 19.16 54.55 80.82
070200xxxxxxxx 手関節症(変形性を含む。) - - 6.72 - -
股関節外科領域の治療として、変形性股関節症(形成不全性、原発性、続発性)や大腿骨頭壊死症(特発性、外傷性)などの股関節機能障害を呈する疾患に対して必要に応じた手術を行っています。また、地域住民である高齢者の転倒等での受傷が多い大腿骨近位部骨折や胸腰椎圧迫骨折は、受傷直後からそれまでの日常生活の継続が困難な状態を招きやすく、入院・投薬・必要に応じた手術・リハビリテーションによる治療によって日常生活への復帰を目指すとともに、骨粗鬆症に対する治療介入・継続によって二次骨折予防への取り組みを行っています。
ハンドケアセンターとして手根管症候群・肘部管症候群に代表される絞扼性神経障害や母指CM関節症・ヘバーデン結節に代表される変形性関節症に対しては、保存的治療に抵抗性の症状であれば手術的治療にも対応しています。
眼科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
020110xx97xxx0 白内障、水晶体の疾患 手術あり 片眼 159 2.96 2.49 1.26 77.32
020110xx97xxx1 白内障、水晶体の疾患 手術あり 両眼 - - 4.29 - -
020320xx99xxxx 眼瞼、涙器、眼窩の疾患 手術なし - - 7.87 - -
020110xx99xxxx 白内障、水晶体の疾患 手術なし - - 2.37 - -
020320xx97xxxx 眼瞼、涙器、眼窩の疾患 手術あり - - 3.08 - -
当院眼科では、白内障に対して「水晶体再建術」の手術を実施する場合、入院にて行っています。
皮膚科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
080007xx010xxx 皮膚の良性新生物 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)等 手術・処置等1 なし 30 4.47 3.77 0.00 61.23
080006xx01x0xx 皮膚の悪性腫瘍(黒色腫以外) 皮膚悪性腫瘍切除術等 手術・処置等2 なし 21 8.86 6.92 0.00 81.71
080010xxxx0xxx 膿皮症 手術・処置等1 なし 17 10.12 12.98 0.00 72.18
080007xx011xxx 皮膚の良性新生物 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)等 手術・処置等1 あり - - 7.72 - -
080020xxxxxxxx 帯状疱疹 - - 9.33 - -
昨年度皮膚科入院は、皮膚悪性腫瘍21例、皮膚の良性腫瘍36例と手術目的の症例が多くを占めました。皮膚の悪性腫瘍は高齢の患者さんの有棘細胞癌や基底細胞癌で、平均10日程度の入院を要し、良性新生物では脂肪腫や粉瘤などの比較的大きな腫瘍であり、術後の創部の安静のため、3~4日の入院を要した症例です。手術以外では蜂窩織炎や丹毒など抗生剤の点滴治療を必要とした膿皮症に分類される入院が17例、抗ウイルス薬点滴を必要とした帯状疱疹の患者さんの入院が5例でした。
救急診療科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等2 なし 12 10.67 20.78 16.67 86.83
030400xx99xxxx 前庭機能障害 手術なし - - 4.67 - -
040070xxxxx0xx インフルエンザ、ウイルス性肺炎 手術・処置等2 なし - - 6.98 - -
0400802499x0xx 肺炎等(市中肺炎かつ75歳以上) 手術なし 手術・処置等2 なし - - 16.40 - -
040090xxxxxxxx 急性気管支炎、急性細気管支炎、下気道感染症(その他) - - 6.22 - -
救急診療科は科の特性上内科疾患・外科疾患の多種多様の傷病者に対応しますが、多くの場合診断が付いた段階で専門科の医師に引き継いでいただいています。救急診療科で入院治療行う傷病者は、心肺蘇生後の重症患者や全身管理の必要な外傷患者、高齢者の身体機能低下に伴って生じる誤嚥性肺炎などの専門性の高くない疾患患者、内耳性めまいなど常勤医がいない科の患者、などとなります。特に高齢者の誤嚥性肺炎は、地域の高齢化が進んでいたり高齢者施設が多く存在したりすることなどから多くの患者が搬送されてきますが、嚥下機能の低下により食事再開の目途が立たなかったり、点滴が長期にわたって必要だったりすることが少なくないため、療養型病床へ転院となることが多くなっています。めまい(前庭機能障害)は、発症当初の強い症状で入院が必要となることが多く、状況に応じて非常勤耳鼻科医師に診療を求め、ほとんどが数日で軽快退院となっています。その他、インフルエンザ感染症や細菌性肺炎、気管支炎等、高齢者の専門性の高くない感染症が入院の多くを占めています。
内分泌内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
10007xxxxxx1xx 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。) 手術・処置等2 1あり 31 18.06 13.77 12.90 74.16
10006xxxxxx1xx 1型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。) 手術・処置等2 1あり - - 12.60 - -
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等2 なし - - 20.78 - -
100050xxxxxxxx 低血糖症(糖尿病治療に伴う場合) - - 6.51 - -
10007xxxxxx0xx 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く) 処置2なし - - 10.46 - -
内分泌代謝内科入院患者の80%以上は糖尿病です。当科では「糖尿病教育入院」を行っています。約1週間の入院中に、医師、看護師、管理栄養士、薬剤師等による多職種糖尿病チームによる、糖尿病の合併症予防、食事指導、日常生活指導を受けていただきます。糖尿病は加齢により増加し、70歳以上の約5人に1人が糖尿病という統計があります。糖尿病治療の目標は、糖尿病のない人と変わらない寿命と日常生活の質(QOL)の実現を目指すことです。そのためには、血糖コントロールをはじめ体重や血圧などを良好に保つことにより、合併症の発症・進展を予防することが重要です。当科の入院糖尿病患者はたんなる教育入院は少なく、外科手術前の血糖管理や高血糖による緊急入院がほとんどです。糖尿病の治療は食事療法が基本ですが、多くの種類の内服薬やインスリン、GLP1作動薬の注射剤があります。病態により適切な治療薬を使用します。入院当初の急性期にはインスリン注射により治療することも多くなります。入院中にインスリン自己注射指導を受けていただき退院後もインスリンの自己注射により治療することもあります。入院期間は通常3日~14日となります。
さらに、当科では下垂体や副腎等の内分泌疾患の診断に必須のホルモン負荷試験のための入院や、最近注目されている「睡眠時無呼吸症」の診断のための睡眠中PSG(ポリソムノグラフィー)検査や治療のためのCPAP(持続陽圧呼吸療法)導入のための入院も行っています。
小児科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
010230xx99x4xx てんかん 手術なし 手術・処置等2 4あり 30 2.83 5.90 0.00 11.50
010230xx99x00x てんかん 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし - - 6.89 - -
- - - - - - -
- - - - - - -
- - - - - - -
当院小児科は主として重症心身障害病棟の運営にあたっておりますが、2022年からはてんかん支援拠点病院である当院のてんかん診療の一部も担っています。県内外の医療機関や関係各科と連携し、てんかんセンターとして包括的てんかん診療を行っております。小児科は完全予約制として外来診療を行っており、さらに治療の方針を決定するために長時間ビデオモニタリング脳波、MRI検査、SPECT検査など様々な検査を入院で行っております。詳細な病態の診断をするとともに、それに基づいた治療を進めています。てんかん外科の適応のある患者さんも少なからずおられ、その際には当院脳神経外科と連携を取り、速やかに外科治療に移行できるよう体制を整えております。内科的治療に関しては抗てんかん発作薬の調整を行っております。またてんかんコーディネーターと協力し、日常生活の様子も考慮しながらご家族や地域の学校等と連携を取り、患者さんが生活を送りやすくなるよう支援しています
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数 ファイルをダウンロード
初発 再発 病期分類
基準 (※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 30 - 13 23 - 101 1 8,7
大腸癌 17 42 52 34 10 372 1 8,7
乳癌 30 42 19 - - 77 1 8
肺癌 53 19 24 54 12 696 1 8,7
肝癌 - - - - - 82 1 8
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
・初発:一連の初回治療が終了するまで、複数回入院があった場合も初発の扱いとした件数になります。
・再発:再発後のがんに対して複数回入院があった場合、全て再発の扱いとした件数になります。
(一連の初回治療終了後の入院、一連の初回治療中に新たな遠隔転移をきたした際の入院、再発のがんに対する治療開始の入院、これらは複数回入院があった場合も再発の扱いとし件数に入れています。)

初発のstage不明については、がんの疑いに対する検査目的の件数で、退院までに病理結果が出ないことにより「不明」の件数が多くなっています。
成人市中肺炎の重症度別患者数等 ファイルをダウンロード
患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 24 9.79 60.50
中等症 73 14.95 78.62
重症 22 20.68 82.36
超重症 - - -
不明 - - -
呼吸器内科においては、以前は軽症から中等度の市中肺炎が多い傾向であったが、近年は近隣地域からの重症肺炎の紹介や、原発性肺癌、慢性閉塞性肺疾患・非結核性抗酸菌症・気管支拡張症や間質性肺炎を伴う難治性肺炎が増加傾向であり、入院期間が延長している。また渋川地区以外に、吾妻地区・沼田地区など群馬県の広範囲の地域からの初診紹介患者、救急患者が増加傾向である。COVID-19に関しては地域の中核的な病院であるため、COVID-19患者や発熱患者に対しては、常に適切に対応し、院内感染には十分注意しつつ、他疾患の治療に支障ないよう努めている。
脳梗塞の患者数等 ファイルをダウンロード
発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
3日以内 65 22.63 75.34 24.42
その他 21 28.05 77.52 11.63
脳梗塞に分類される症例、特に高齢者のラクナ梗塞の患者が多数を占めており、3週間程度の治療の後、回復期リハビリの継続が必要な場合には、近隣のリハビリテーション専門病院に転院、切れ目のないリハビリの継続を実践しています。入院中は栄養サポートチームの積極的な介入により、全身状態の改善を図り、合併症の予防に努めています。発症から4.5時間以内の急性期脳梗塞,特に主幹動脈閉塞例については群馬大学脳神経外科と連携し、救急部でのアルテプラーゼの使用と大学病院への転送(drip and ship)、血栓回収を試みています。BAD症例については複数の抗血小板剤を用いてbest medical treatmentを行うよう心がけています。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで) ファイルをダウンロード
消化器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満) 426 0.04 1.09 0.00 71.87
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 68 3.41 12.79 8.82 75.40
K654 内視鏡的消化管止血術 42 0.60 7.05 14.29 76.95
K635 胸水・腹水濾過濃縮再静注法 26 4.58 6.08 0.00 63.12
K7212 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm以上) 24 0.00 1.17 0.00 74.67
消化器内科で1番件数が多い処置は、内視鏡的大腸ポリープ切除術です。昨年度は群大からの大腸内視鏡検査のバイトの増員があり、大腸内視鏡検査数の増加と共にポリープ切除の処置が増加しました。2番目に多い処置は、ERCPによる内視鏡的胆道ステント留置術です。急性胆管炎の緊急ドレナージや胆膵癌が原因の閉塞性黄疸に対して金属ステント留置も含めたドレナージを行っています。3番目は消化性潰瘍出血や食道静脈瘤破裂等に対する内視鏡止血術となっております。内視鏡的に止血困難例、特に動脈性の出血に対しては、内視鏡的消化管止血術の他、放射線診断科と連携し、IVR(interventional radiology)による塞栓術にて止血を行っております。IVRでも止血困難な場合は、消化器外科と連携し手術も行える体制となっております。4番目は腹水濾過濃縮再静注療法です。肝硬変の患者や消化器癌患者の腹水に対して行っています。
泌尿器科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K783-2 経尿道的尿管ステント留置術 172 1.03 2.32 6.40 76.87
K8036イ 膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)(電解質溶液利用) 141 1.52 3.95 1.42 76.13
K7811 経尿道的尿路結石除去術(レーザー) 46 1.50 3.28 0.00 64.98
K843-4 腹腔鏡下前立腺悪性腫瘍手術(内視鏡手術用支援機器を用いる) 23 2.04 8.61 0.00 69.26
K7983 膀胱結石摘出術(レーザーによるもの) 等 17 1.35 2.94 0.00 73.12
経尿道的尿管ステント留置術は、尿路結石やその他が原因の水腎症で腎盂腎炎などを発症していた場合、尿流を確保する目的で施行する手術です。時に両側水腎症の腎不全で来院される患者さんもいて、腎不全回避のために施行する緊急手術の代表です。それ以下の傾向として、膀胱がん・尿路結石・前立腺がんに対する手術が多かったという結果でした。経尿道的膀胱腫瘍切除術は開腹せずに尿道から内視鏡を挿入し、膀胱内の悪性腫瘍を切除する手術です。電解質溶液で手術ができるようになり安全性が向上しました。合併症としての膀胱穿孔を起こさなければ比較的早期に退院が可能です。病理組織診断で筋層浸潤を認めない浸潤癌との結果が出ることがあり、そのようなケースでは診断の信憑性を確保する目的で、比較的短期間のうちに再度同じ手術を施行することが診療ガイドライン上推奨されています。経尿道的尿路結石除去術はレーザー砕石器を用いて膀胱の上流の尿管結石を摘出する手術です。尿管結石は以前は体外衝撃波結石破砕術が治療の主流でしたが、治療回数が複数回を要したり、排石率が必ずしも高くないといった弱点がありました。レーザー砕石装置の登場によりこの手術が増加したものと思われます。早期前立腺がんの根治療法としてロボット支援根治的前立腺摘出術が施行可能となりました。出血量が少なく、術式も標準化できているので、開腹手術に比べて入院期間も短縮できています。膀胱結石も比較的多い疾患で、レーザーによる砕石装置を使用でき、比較的安全に施行することができます。
消化器外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K634 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側) 75 1.11 2.59 0.00 70.55
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 38 0.79 6.21 2.63 68.55
K719-3 腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術(内視鏡手術用支援機器) 等 35 5.34 13.00 2.86 73.46
K718-22 腹腔鏡下虫垂切除術(虫垂周囲膿瘍を伴うもの) 28 0.57 7.32 0.00 52.18
K6335 鼠径ヘルニア手術 24 1.58 3.25 0.00 77.25
消化器外科で多い悪性疾患に対する手術は、大腸癌手術(ほとんどをロボット支援腹腔鏡下に施行)および胃癌手術(ほとんどを腹腔鏡下、5月よりロボット支援腹腔鏡下に施行)です。良性疾患に対する手術で多いのは、鼠径ヘルニア手術(約70%を腹腔鏡下に施行)、胆石症などに対する胆嚢摘出術(100%を腹腔鏡下に施行)、虫垂炎に対する虫垂切除術(100%を腹腔鏡下に施行)となっております。細かい内訳をみると、最も多かったのが腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術、2番目に多かったのが腹腔鏡下胆嚢摘出術、3番目に多かったのが腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術(大腸癌のうち結腸癌に対するロボット支援手術)、4番目に多かったのが急性虫垂炎に対する手術、5番目に多かったのが腹腔鏡下手術以外で行った鼠径ヘルニア手術でした。
眼科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K2821ロ 水晶体再建術(眼内レンズを挿入)(その他) 157 0.00 1.99 0.00 77.20
K2822 水晶体再建術(眼内レンズを挿入しない) - - - - -
K269 虹彩整復・瞳孔形成術 - - - - -
K2172 眼瞼内反症手術(皮膚切開法) - - - - -
- - - - - - -
当院眼科での手術症例数一位の「K2821 水晶体再建術(眼内レンズを挿入する場合)(その他)」とは、白内障に対する手術です。
呼吸器外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K514-23 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(肺葉切除又は1肺葉を超える) 等 42 1.45 9.62 2.38 73.07
K514-21 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(部分切除) 29 1.41 5.07 0.00 72.59
K5131 胸腔鏡下肺切除術(肺嚢胞手術(楔状部分切除)) 20 1.65 4.80 10.00 46.40
K514-22 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(区域切除) 等 14 1.14 8.21 0.00 73.93
K496-4 胸腔鏡下膿胸腔掻爬術 11 4.18 18.18 9.09 66.27
原発性肺がんに対する区域切除術や部分切除術(いわゆる積極的縮小手術)が増加している。これは、肺がんの状況により縮小手術であっても十分な根治性が担保されることが科学的に証明されたことによる。これにより高齢者においても呼吸機能の温存が図れ、積極的な外科治療が可能である。今後も積極的縮小手術が原発性肺がんに対する術式として増加して行くと考えられる。膿胸に対する手術は、いわゆるフィブリン溶解剤が製造中止となったことで今後も増加する傾向にあると考えられる。膿胸の手術は全身状態の悪い患者さんが多く、術前・術後の管理に専門性を有すると考えられ、近隣の医療機関より当院へ紹介されるケースが多い。
整形外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K0821 人工関節置換術(股) 40 1.15 21.48 42.50 67.95
K0811 人工骨頭挿入術(股) - - - - -
K093 手根管開放手術 - - - - -
K0461 骨折観血的手術(大腿) 等 - - - - -
K0732 関節内骨折観血的手術(手) 等 - - - - -
人工股関節置換術については患者満足度のさらなる向上を常に念頭に置き、低侵襲かつ正確な手術を行える環境を整え、県内外の患者に対応しています。また、骨粗鬆症を背景とする骨折の中でも手術による加療が必要となることが多い大腿骨近位部骨折に対して人工骨頭置換術や骨折観血的手術を行っています。
また、ハンドケアセンターとしての治療の一環として、手根管症候群に対しては入念な診察や保存的治療を行った上で必要に応じて手根管開放手術を行っており、上肢外傷に対しては観血的手術のみならず、関節内骨折等に対しては積極的に鏡視下手術を併せて行っています。
乳腺内分泌外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K4762 乳腺悪性腫瘍手術(乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わない)) 43 1.00 4.05 0.00 60.93
K4763 乳腺悪性腫瘍手術(乳房切除術(腋窩部郭清を伴わない)) 15 1.00 6.87 0.00 65.53
K4764 乳腺悪性腫瘍手術(乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴う)) 11 1.00 7.36 0.00 61.36
K4765 乳腺悪性腫瘍手術(乳房切除術・胸筋切除を併施しない) - - - - -
K4768 乳腺悪性腫瘍手術(乳輪温存乳房切除術(腋窩部郭清を伴わない)) - - - - -
上記と同様乳癌手術では最も多いのは乳腺部分切除術+センチネルリンパ節生検術である。次に多いのは乳房切除術+センチネルリンパ節生検術でこの傾向はここ数年変わらない。
皮膚科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K0072 皮膚悪性腫瘍切除術(単純切除) 26 0.15 7.77 0.00 82.00
K0051 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)(長径2cm未満) 14 0.07 2.93 0.00 62.71
K0052 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)(長径2cm以上4cm未満) - - - - -
K0063 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外・長径6~12cm)(6歳以上) 等 - - - - -
K0053 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)(長径4cm以上)(6歳以上) - - - - -
入院手術を行った皮膚悪性腫瘍は、基底細胞癌11例、有棘細胞がん11例、その他、ボーエン病や皮膚附属器癌などでした。皮膚良性新生物の手術では脂肪腫13例、粉瘤10例、比較的大きく外来での手術が困難な症例でした。
脳神経外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K164-2 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 15 0.80 13.00 20.00 76.47
K181-2 脳刺激装置交換術 11 5.36 11.27 0.00 74.09
K1541 機能的定位脳手術(片側) - - - - -
K1811 脳刺激装置植込術(片側) - - - - -
K1692 頭蓋内腫瘍摘出術(その他) - - - - -
当院に特化した専門的診療(機能的脳神経外科)の他、地域の基幹病院として救急対応しているため、もっとも多いのは慢性硬膜下血腫に対する手術です。てんかんや痙縮、パーキンソン病、本態性振戦、ジストニアなどの機能的疾患に対する手術はてんかんセンター、ニューロモデュレーションセンターでもある当院脳神経外科の大きな特徴となっており、開院から10年目となり、体内植え込み型パルス発生装置の出力低下に伴う交換術、機能的定位脳手術、脳刺激装置埋込術などの高度な機能的脳外科手術が定期的に行われるようになってきました。また、がん拠点病院として各診療科と連携しており、頭蓋内腫瘍摘出術(転移性脳腫瘍)が増えてきています。
血液内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K6113 抗悪性腫瘍剤静脈内持続注入用植込型カテーテル設置(頭頸部その他) 19 24.74 17.21 0.00 72.21
K783-2 経尿道的尿管ステント留置術 - - - - -
K331 鼻腔粘膜焼灼術 - - - - -
K9212ロ 造血幹細胞採取(末梢血幹細胞採取)(自家移植) - - - - -
K654 内視鏡的消化管止血術 - - - - -
強力な化学療法を行う場合、またはもともと抗がん剤を投与する血管が確保できない患者さんの場合、埋込型カテーテルを留置して化学療法を行います。再発難治性悪性リンパ腫の患者さん、多発性骨髄腫の65歳未満の患者さんには自家末梢血幹細胞移植併用大量化学療法を行います。移植を行うためには事前に造血幹細胞を採取、凍結保存する必要があり、大量化学療法にフィルグラスチム(G-CSF)を投与して採取するか、プレリキサホルという薬剤を用いて幹細胞を末梢血から採取します。悪性リンパ腫ではしばしば腹腔内に発生した腫瘤性病変により尿管閉塞を来し水腎症・腎機能障害をきたすことがあり、泌尿器科による経尿道的尿管ステント留置術が必要となることがあります。悪性リンパ腫などで消化管に病変がある場合や、血液腫瘍に対する化学療法や放射線治療などの影響で消化管出血を合併することがあります。そのような場合には緊急内視鏡検査を行い、出血部位の止血を行います。そのほかにも血液疾患の治療中に内視鏡的な処置が必要となることがあります。血液疾患では血小板減少や凝固異常などにより鼻出血を併発することもあり、耳鼻咽喉科での鼻腔粘膜焼灼術が行われることがあります。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率) ファイルをダウンロード
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 - -
異なる - -
180010 敗血症 同一 10 0.15
異なる - -
180035 その他の真菌感染症 同一 - -
異なる - -
180040 手術・処置等の合併症 同一 21 0.31
異なる - -
手術・処置等の合併症については、医療行為に伴い一定割合で発生してしまう合併症や副作用等の病態を指しています。一般的に多く分類される病態としては、術後出血や創部感染などがありますが、適切に手術、処置を含めた医療行為を行いましても、一定の確率で起こり得るものです。
当院の手術・処置等の合併症の症例内訳は下記の通りです。

・術後出血 6例(内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術、胃瘻造設術、膀胱悪性腫瘍手術)
・中心静脈カテーテル感染症 4例
・検査後出血 2例(消化管内視鏡生検、経気管支肺生検)
・輸血後じんま疹 1例
・内視鏡検査中腸穿孔 1例
・術後創部感染 1例
・術後膿瘍 1例
・縫合糸膿瘍 1例
・生検後感染 1例
・カテーテル関連尿路感染症 1例
・尿管ステント交換後腎盂腎炎 1例
・VPシャント機能不全 1例
・造影剤ショック 1例
・薬物性ショック 1例

上記23例が当該DPCに該当しています。
リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率 ファイルをダウンロード
肺血栓塞栓症発症のリスクレベルが
「中」以上の手術を施行した
退院患者数(分母)
分母のうち、肺血栓塞栓症の
予防対策が実施された患者数(分子)
リスクレベルが「中」以上の手術を
施行した患者の肺血栓塞栓症の
予防対策の実施率
560 540 96.43%
周術期の肺血栓塞栓症予防対策は「肺血栓塞栓症リスク評価表」をもとに実施しています。リスク評価と合わせてDVT-WellsスコアリングとDダイマー検査による深部静脈血栓症(DVT)の除外診断を行います。術前DVTが否定できない場合は、積極的に下肢静脈超音波検査を行っています。予防対策はリスクレベルに合わせ、早期離床や運動、弾性ストッキング着用、間欠的空気圧迫法の施行、抗凝固療法等を行っています。
血液培養2セット実施率 ファイルをダウンロード
血液培養オーダー日数(分母) 血液培養オーダーが1日に
2件以上ある日数(分子)
血液培養2セット実施率
1075 907 84.37%
当院の血液培養複数セット採取率は、例月高い値を維持している。令和6年度は、7月~9月の期間で血液培養ボトルの出荷制限があった。そのため当該期間においては、原則1セット採取とし、複数セット採取は重症例や感染性心内膜炎疑いなど、医師が必要と判断した場合のみに限定し、対応した。出荷制限解除後は速やかに例月通りの高い値に戻り、本事例に対して柔軟に対応ができた。今後も適正な感染症診療が提供できるよう、ICT・ASTを中心に働きかけを行っていきたい。
広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率 ファイルをダウンロード
広域スペクトルの抗菌薬が
処方された退院患者数(分母)
分母のうち、入院日以降抗菌薬処方日
までの間に細菌培養同定検査が
実施された患者数(分子)
広域スペクトル抗菌薬使用時の
細菌培養実施率
415 394 94.94%
疾患ごとに必要な培養提出を依頼しており毎月高い実施率を持続している。
培養未実施の場合は、実施の有無の評価を行い院内感染予防対策委員会において情報を共有している。
引き続き培養実施率の維持・向上を目指し抗菌薬の適正使用に努めていく。
転倒・転落発生率 ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和
もしくは入院患者延べ数(分母)
退院患者に発生した転倒・転落件数
(分子)
転倒・転落発生率
74319 163 2.19‰
転倒・転落事故防止のため、入院時に「転倒転落セルフチェックシート」や「転倒転落アセスメントシート」を用いて転倒・転落リスクを評価しています。転倒・転落リスク評価を行い、高リスクの方には事故防止のための説明を行い、患者さんにもご協力をお願いしています。転倒・転落が発生した場合は、看護師が受傷の有無を確認し、主治医または日当直医に報告しています。医師の診察、判断後、受傷部位や状況に応じた対応を行っています。
転倒転落によるインシデント影響度分類レベル3b以上の発生率 ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和
もしくは入院患者延べ数(分母)
退院患者に発生したインシデント
影響度分類レベル3b以上の
転倒・転落の発生件数(分子)
転倒転落によるインシデント影響度
分類レベル3b以上の発生率
- - -
転倒・転落が発生した場合は、医師に報告後、受傷の有無を確認し、受傷部位や状況に応じた対応を行っています。診察の結果、本来必要でなかった治療や処置が必要となった場合(縫合、骨折等)は医療事故として転倒転落の状況や原因を調査し、再発防止の為に対応策を検討しています。検討した内容は院内の医療安全管理部門へ報告されています。転倒・転落による大きなけがに繋がらないよう、患者さんの状態変化時には転倒転落リスクアセスメントの再評価や計画の見直し、対策を行っています。
分子の値が10件未満と小さく、医療の質として良好な結果ですが、値が小さすぎるため「-(ハイフン)」で表示しています。
手術開始前1時間以内の予防的抗菌薬投与率 ファイルをダウンロード
全身麻酔手術で、
予防的抗菌薬投与が実施された
手術件数(分母)
分母のうち、手術開始前
1時間以内に予防的抗菌薬が
投与開始された手術件数(分子)
手術開始前1時間以内の
予防的抗菌薬投与率
758 733 96.70%
手術後の感染をできるだけ防ぐために、抗生物質をあらかじめ投与することを予防的抗菌薬投与という。
手術開始直前に抗菌薬を点滴などで投与することにより、手術後の感染を抑えることが期待されている。
当院では、医師の指示により、予防的抗菌薬投与を実施している。
手術前の投与は、入院病棟で実施しており、病棟から持参した抗菌薬を使用し、その後3時間毎の投与を手術室で実施している。
d2(真皮までの損傷)以上の褥瘡発生率 ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和もしくは
除外条件に該当する患者を除いた
入院患者延べ数(分母)
褥瘡(d2(真皮までの損傷)以上
の褥瘡)の発生患者数(分子)
d2(真皮までの損傷)以上の
褥瘡発生率
72559 26 0.04%
当院では、入院時及び定期的に褥瘡危険因子評価を行い、褥瘡ハイリスク患者さんを選定し、エアーマットレス・ウレタンマットレスの体圧分散寝具を早期に使用し、予防ケアを実施しています。また、皮膚科医師、皮膚・排泄ケア認定看護師を中心に管理栄養士・理学療法士・薬剤師の多職種で週1回の回診、予防カンファレンスを開催し、褥瘡発生予防・褥瘡発生時は早期治療・悪化予防に努めています。
65歳以上の患者の入院早期の栄養アセスメント実施割合 ファイルをダウンロード
65歳以上の退院患者数
(分母)
分母のうち、入院後48時間以内に
栄養アセスメントが実施された
患者数(分子)
65歳以上の患者の入院早期の
栄養アセスメント実施割合
5143 4724 91.85%
従来当院では全患者に対して栄養管理計画書を作成していたが、2025年3月からは全患者に対して標準的な栄養スクリーニング(MUST)を実施し、低栄養高リスク患者に対してGLIM基準による栄養アセスメントを実施している。インピーダンス法により筋肉量を評価し、アセスメントの結果をもとに個々の患者の状態に応じた栄養管理を行っている。
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退院患者の在院日数の総和
(分母)
分母のうち、身体的拘束日数の総和
(分子)
身体的拘束の実施率
74319 3176 4.27%
身体的拘束は患者又は他の患者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、実施しないこととしています。患者の生命・安全確保のために最終手段として実施する場合も患者家族に同意を得たうえで医師、看護師を含む多職種カンファレンスを行い、必要性を複数人で3要件(切迫性・非代替性・一時性)を満たしているか検討し、方法、時間等を電子カルテに残しています。身体的拘束最小限に向け看護師が実施状況を毎日評価し、定期的に多職種でカンファレンスを行っています。
更新履歴
2025.9.29
令和6年度 渋川医療センターの病院指標を掲載しました。