渋川医療センター消化器外科では、患者様に安心して手術を受けていただけるよう、スタッフ一同、最先端かつ合併症の少ない確実な手術を心がけております。
当科の特色は、多くの症例で腹腔鏡下手術(低侵襲手術)を実施している点です。日本内視鏡外科学会の技術認定を取得した医師が2名在籍し、質の高い腹腔鏡下手術やロボット支援腹腔鏡下手術(ダビンチ手術)を提供しています。
消化器内科、消化器外科、放射線診断科、放射線治療科、病理診断科が合同で消化器カンファレンスを行い、患者様に最適な治療法を検討しています。
術後は、疼痛管理チーム、感染対策チーム、栄養サポートチームなど、多職種が連携して患者さんの回復を支援しています。
2023年10月、当院は内視鏡下手術支援ロボット「Da Vinci Xiシステム(ダビンチ)」(図1)を導入しました。消化器外科では週3日の手術日のすべてでダビンチを使用できるため、胃癌や大腸癌などの手術が必要な患者様のほぼ全例にダビンチ手術を提供可能です(胃癌に対するダビンチ手術は2025年5月1日開始)。
また、胆嚢手術、ヘルニア手術、虫垂炎手術、腸閉塞・イレウス手術などには、2台のオリンパス社製3Dビデオスコープシステム(図2)を用いた腹腔鏡下手術を提供しています。高齢の方や合併症を有する方でも、安全に低侵襲手術を受けていただけます。
2023年度・2024年度に実施した手術件数をお示しします(表1・表2)。胃悪性腫瘍や大腸悪性腫瘍に対する腹腔鏡下手術・ダビンチ手術において、手術死亡および在院死亡は1例もありませんでした。
図1 Da Vinci Xiシステム(ダビンチ)
図2 3Dビデオスコープシステム
切除不能な胃癌・大腸癌などの腹部消化管悪性腫瘍に対して、最新のガイドラインに基づき、抗がん剤や分子標的薬を用いた薬物療法を行っています。
※消化器内科では、肝臓・胆嚢・膵臓に対する薬物療法も実施しています。
開院から6年以上が経過した2022年末時点で、大腸癌術後の累積5年生存率、直腸癌術後の累積5年局所再発率、主な術後合併症率を算出しました(図3)。
結果は以下の通りです。
図3 治療成績
当院では、経験豊富な外科医が手術から術後のケアまで一貫して担当しています。患者様の不安や疑問には、わかりやすく丁寧に説明を行い、安心して治療を受けていただけるよう努めています。
「なるべく体に負担の少ない手術を受けたい」、「日常生活に早く戻りたい」、「安心できる環境で治療を受けたい」という患者様の思いに、当院は全力でお応えいたします。
当院では、結腸悪性腫瘍手術および直腸手術(2023年12月〜)、胃手術(2025年5月〜)において、ロボット支援腹腔鏡下手術「ダビンチ(da Vinci Xi)手術」を導入しています。
ダビンチ手術とは、外科医がロボットアームを操作して行う最先端の腹腔鏡下手術(低侵襲手術)のことです。小さな切開創から内視鏡(カメラ)と手術器具を挿入し、高精細な3D画像を見ながら、外科医が3本のロボットアームとカメラを操作して精密な手術を行います(図4・5)。
ダビンチはアメリカで開発された医療用ロボットで、現在は世界中でがん手術を中心に使用されています。当院でも、高度な技術と経験を持つ外科医が、安全で確実かつ体に優しい手術を提供しています。
図4 コントローラーを操作する医師
図5 カメラと3本のアーム
従来の開腹手術に比べて傷が小さく、痛みが少なくなります。早期離床が可能となるため、術後合併症の発生を減らすことができます。出血量も少なく、早期の社会復帰が期待できます。
内視鏡は手ぶれがなく、ロボットアームには手ぶれ補正機能が搭載されています。外科医の手の動きを縮小して正確に反映でき、関節機能により複雑で細かな操作も行うことができます(図6)。
ロボットアームの関節機能により、骨盤の深部にある患部へ容易に到達することができ、安全かつ確実な手術が可能となります(図7)。
傷が小さいため、術後の傷跡が目立ちにくくなります。
図6 精密な手術が可能
図7 ダビンチの関節機能
ロボットアームには触覚がないため、内視鏡に映らない部分ではロボットアームを動かさないように注意が必要です。
当院には、日本内視鏡外科学会技術認定取得医(2名)、日本消化器外科学会専門医(3名)、日本外科学会専門医(4名)が在籍しており、豊富な経験をもとに高い水準の手術を提供しています。
当院では、患者様の安全性と生活の質(QOL)を重視し、鼠径(そけい)ヘルニアの手術を行っています。
鼠径ヘルニアとは、足の付け根付近に腸や腹膜が飛び出す病気であり、自然に治ることはありません。そのため、手術による治療が必要です。当院では、患者様の状態に合わせて最も適した術式を選択しています。
当院では、TiLENE®メッシュを手術に使用しています。これは、ポリプロピレンメッシュにチタンをコーティングした人工補強材(図8)であり、異物反応が少なく、術後の痛みや違和感を軽減する効果が期待できます。また、手術中の操作性が高く、結果として手術の質の向上にもつながります。
図8 チタンコーティングメッシュ「TiLENE®」
役職 | 特命副院長 内視鏡外科センター長 消化器外科部長 |
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名前 | 吉成 大介 (よしなり だいすけ) |
卒年 | 群馬大学 平成6年卒 |
専門分野 | 消化器外科 |
資格 |
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役職 | 消化器外科医長 |
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名前 | 沼賀 有紀 (ぬまが ゆき) |
卒年 | 群馬大学 平成14年卒 |
専門分野 | 消化器外科 |
資格 |
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役職 | 消化器外科医長 |
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名前 | 榎田 泰明 (えのきだ やすあき) |
卒年 | 自治医科大学 平成18年卒 |
専門分野 | 消化器外科 |
資格 |
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役職 | 消化器外科医師 |
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名前 | 市岡 健 (いちおか けん) |
卒年 | 群馬大学 平成30年卒 |
専門分野 | 消化器外科 |
資格 |
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役職 | 消化器外科医師 |
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名前 | 藤田 拓伸(ふじた たくの) |
卒年 | 秋田大学 令和3年卒 |
専門分野 | 消化器外科 |
資格 |
役職 | 名誉院長 |
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名前 | 蒔田 富士雄 (まきた ふじお) |
卒年 | 群馬大学 昭和58年卒 |
専門分野 | 消化器外科 |
資格 |
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