小児科・重症心身障害児(者)について
群馬県内唯一の「総合病院内にある重症心身障害病棟」として、「医療と療育の質の向上」を目指しています。
診療内容について
当院小児科は現在、主に重症心身障害児(者)の診療を行っております。重症心身障害児とは、重度の知的障害および重度の肢体不自由が重複している児童と定義されており(児童福祉法第7条2項)、成人した重症心身障害児を含めて重症心身障害児(者)と称します。具体的には知能指数(IQ)35以下でかつ運動機能が座位までに制限されている状態であり、脳性麻痺などを基礎疾患として、呼吸障害、摂食・嚥下障害、排泄障害、てんかんなどの様々な合併症があります。
当科の入院(入所)には長期入所と短期入所があります。
長期入所
児童福祉法に基づく「医療型障害児入所支援(指定発達支援医療機関)」と障害者総合支援法に基づく「療養介護サービス」を一体的に実施し、児者一貫した支援を行っています。
療養目的に長期の入所をされている方が、令和8年7月現在、3階東病棟48名、3階西病棟48名、計96名いらっしゃいます。年齢は4~78歳と幅広いです(平均年齢41歳)。また超重症児スコア(医療ケアに基づく障害判定基準)で規定される超重症児(者)が12名、準超重症児(者)が26名となっています。超重症・準超重症児(者)の割合は常に30%を超えている状況です。
短期入所
空床利用による医療型短期入所を行っております。在宅療養されている患者家族のレスパイトとしての役割を果たしており、県内外の方々にご利用頂いています。新型コロナウイルス感染症対策による受け入れ中止期間がありましたが、令和5年2月から再開できており、年々利用される方が増えている状況です。
また令和4年度に開設した小児神経外来ではてんかん診療を精力的に行っており、てんかん支援拠点病院でもある当院のてんかん診療機能の一翼を担っております。受診者数は着実に増加しており、それに伴い検査入院数も増加傾向です。
取り扱っている疾患について
主な疾患
- 脳性麻痺
- 先天異常症、染色体異常症
- 低酸素性障害
- 脳炎・髄膜炎/脳症/脳血管障害/脳外傷 後遺症
- てんかん
- 慢性呼吸不全(気管切開、人工呼吸器管理)
- 摂食嚥下障害(経鼻経管、胃ろう)
- 入所中に発症した感染症(肺炎、尿路感染症など)やイレウスなど
当科の特徴
当院小児科は、成人診療科医師や多職種スタッフの協力のもと、主に重症心身障害病棟(3階東西病棟、計106床)入所者の診療を担当しています。
小児科常勤医不在の期間がありましたが、令和3年3月に常勤の小児科医長が着任しました。さらに令和4年4月に1名、令和5年4月にもう1名の小児科医が着任し、現在は小児科常勤医3名体制となっております。これにより、重症度の高い入所者や小児への対応、群馬県立小児医療センターや群馬大学などとの緊密な連携といった、これまで以上にきめ細かい診療が行えるようになってきております。
当院の重症心身障害児(者)診療は、昭和48年に当時の国立療養所大日向荘から始まっており、令和5年で病棟開設50周年を迎えました。西群馬病院時代を経て、これまで半世紀以上にわたり重症心身障害児(者)の方々およびご家族の皆様とともに歩んできたことになります。平成28年4月に渋川医療センターとなってからは、人工呼吸器や気管切開、胃ろうといった、より高度な医療ケアを要する方々も積極的に受け入れております。
多職種連携について
総合病院の中にある重症心身障害病棟であることもあり、小児科医師、成人診療科医師、看護師、診療看護師、児童指導員、保育士、リハビリテーション科職員、栄養士、薬剤師、臨床工学技士など多職種で連携しながら、質の高い医療および療育を提供できるよう努力しています。多職種によるカンファレンスも定期的に行っています。

多職種カンファレンスの様子
いのうえ ふみたか
井上 文孝
| 役職 | 小児科医長 |
|---|---|
| 出身大学 ・卒年 |
群馬大学 平成17年 |
| 専門分野 | 小児科、重症心身障害児(者)、新生児 |
| 認定資格 |
|
いだ くにこ
井田 久仁子
| 役職 | 小児科医長 |
|---|---|
| 出身大学 ・卒年 |
群馬大学 平成18年 |
| 専門分野 | 小児科、小児神経、てんかん |
| 認定資格 |
|
やまぐち あや
山口 綾
| 役職 | 小児科医師 |
|---|---|
| 出身大学 ・卒年 |
獨協医科大学 平成22年 |
| 専門分野 | 小児科、重症心身障害児(者) |
| 認定資格 |
|
外来担当医表
| 時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 |
|---|---|---|---|---|---|
| 午後 | 井田 久仁子※2 | 井上 文孝※1 | 井田 久仁子※2 |
※1 重症心身障害児(者)の予約診療となります。
※2 小児神経(てんかん)の予約診療となります。
診療実績
令和7年度
長期入所
| 入所者数 | 月平均94.5名(療養介護利用76.7名、医療型障害児入所施設利用11.0名、措置入所6.8名) |
|---|---|
| 新規入所者 | 3名(うち超重症児1名、準超重症者1名) |
| 入所時年齢 | 3歳3か月~21歳 |
短期入所
| 利用者数 | 26名(うち新規利用者9名) |
|---|---|
| 件数 | 147件 |
| 日数 | 624日間 |
検査入院等
長時間ビデオ脳波モニタリングなどの検査入院を5階東病棟でお受けしています。
| のべ入院患者数 | 33名 |
|---|
診療
例年通り、入所者の皆様の日々の健康管理(人工呼吸器・気管切開・胃ろうなどの医療ケアや感染症治療、ワクチン接種、ボツリヌス療法などを含む)を行いました。急性期診療については他院小児科や院内成人診療科と連携して対応しました。
療育活動
医療に加えて療育も重要と考えており、療育指導室スタッフにより様々な療育活動を提供しています(詳細は療育指導室のページもご参照ください)。
夏まつりやクリスマス会といった季節を感じられるイベント、誕生会や人生の節目を祝う会(七五三・成人・還暦・古希・喜寿など)、そのほか院内で行えるお楽しみ会や病院敷地内の散策、院外の各地へ出かける戸外活動を行いました。
学術実績
英文論文
2023年
Ryo Shimada, Hiroyuki Tsukagoshi, Rina Kubota, Daisuke Shinoda, Yuri Shinohara, Akio Saito, Fumitaka Inoue, Tadaaki Endo, Nobuhiro Saruki. A Nosocomial Outbreak Caused by Human Rhinovirus Species A Type 61 in a Welfare Facility in Gunma Prefecture, Japan. Japanese journal of infectious. 2023 Jul 24;76(4):263-265. doi: 10.7883/yoken.JJID.2023.039. Epub 2023 Apr 28.
学会発表
2022年
井上文孝, 清水信三. 重症心身障害児者への新型コロナワクチン接種の経験. 第218回日本小児科学会群馬地方会講話会, 完全WEB開催, Mar 13, 2022
井田久仁子,髙橋幸利,遠山潤,桐野友子,藤原由美,池田ちづる,田中茂樹,高橋純哉. Suppression-Burstを示したてんかん性スパズム症例の臨床的検討. 第64回日本小児神経学会学術集会, Gメッセ群馬, Jun 2-5, 2022. 現地+WEB開催
2023年
井上文孝, 井田久仁子, 山口綾, 合田司, 高橋正弥, 高塚真理. 当院重症心身障害病棟におけるNSTの関わりについて:NST加算算定開始前後の比較. 第77回 国立病院総合医学会, 広島, Oct 20-21, 2023. 現地開催
井上文孝, 井田久仁子, 山口綾. 当院重症心身障害病棟におけるNSTの関わりについて:現状と課題. 第222回日本小児科学会群馬地方会講話会, 群馬大学, Jul 30, 2023. 現地+WEB開催
井上文孝, 山口綾. ライノウイルスによる重症肺炎を呈した重症心身障害者の1例. 第48回日本重症心身障害学会学術集会, 千葉県・幕張メッセ国際会議場, Oct 26-27, 2023. 現地開催
井上文孝. 重症心身障害児(者)の栄養管理について. 第81回渋川摂食嚥下研究会, 群馬県渋川ほっとプラザ, Apr 4, 2023.
2024年
井上文孝, 井田久仁子, 山口綾. 重症心身障害児者における排唾管を用いた口腔内低圧持続吸引に関する検討. 第78回 国立病院総合医学会, グランキューブ大阪, Oct 18-19, 2024. 現地開催
井上文孝, 井田久仁子, 山口綾. 重症心身障害児へのNSTの関わりについて:当院重症心身障害病棟における現状と課題. 第127回日本小児科学会学術集会, 福岡市, Apr 19 -21, 2024. 現地+WEB開催
井上文孝, 合田司, 井田久仁子, 山口綾, 高塚真理, 奥田加奈子. 重症心身障害者へのNSTの関わりについて:当院重症心身障害病棟におけるNST活動の現状と課題. 日本栄養治療学会関越支部 第10回支部学術集会, Gメッセ群馬, Jun 9, 2024. 現地+WEB開催
井上文孝, 井田久仁子, 山口綾. 当院重症心身障害病棟看護師に対する小児BLS研修について. 第225回日本小児科学会群馬地方会講話会, 群馬大学, Jul 21, 2024
井上文孝, 井田久仁子, 山口綾. 当院重症心身障害病棟看護師に対する小児BLS研修について. 令和6年度群馬県小児保健会総会並びに研究集会, 群馬大学医学部保健学科ミレニアムホール新館2階, Sep 7, 2024
井上文孝, 山口綾. 当院心身障害病棟におけるNSTの関わりについて:小児と成人の比較. 第49回日本重症心身障害学会学術集会, 神戸国際会議場, Nov 8 – 9, 2024. 現地+WEB開催
井上文孝, 山口綾, 合田司, 高塚真理, 林賢吾, 深山美咲. 重症心身障害病棟におけるNST活動の特徴: 一般病棟との比較. 第40回日本栄養治療学会学術集会, 神戸国際会議場, Nov 8 -9, 2024. 現地+WEB開催
2025年
井田久仁子, 髙橋章夫, 井上文孝, 山口綾. 渋川医療センター重症心身障がい病棟におけるてんかん発作頻度と抗てんかん発作薬の使用状況. Frequency of Epileptic Seizures and Antiepileptic Drug Use in the Ward for Patients with Severe Motor and Intellectual Disabilities at Shibukawa Medical Center. 第58回日本てんかん学会学術集会,2025年10月4日
井上文孝, 井田久仁子, 山口綾. 当院重症心身障害病棟看護師に対する急変時シミュレーション研修について. 第128回日本小児科学会学術集会, 2025年4月18日
井上文孝. 在宅医療的ケア児に係わる看護師に対する緊急時対応研修実施の取り組み.第1回日本小児在宅医学会学術集会,2025年9月13日
井上文孝, 井田久仁子, 山口綾. 重症心身障害病棟での空気感染対策として簡易型陰圧ブースを使用した経験. 第79回国立病院総合医学会,2025年11月7日
井上文孝, 山口綾. PICC先端位置異常に関連した胸水と前胸部腫脹を生じた重症心身障害者の1例. 第50回日本重症心身障害学会学術集会,2025年11月21日~22日
井上文孝, 井田久仁子, 山口綾. 予後不良な重症心身障害児例に対するACP(アドバンス・ケア・プランニング)の経験:高次医療機関との連携も含めて. 第229回日本小児科学会群馬県地方会講話会,2025年12月7日
2026年
井上文孝, 山口綾, 合田司, 高塚真理, 林賢悟. 体成分分析による基礎代謝量を用いた栄養管理が有効だった重症心身障害者の一例. 第41回日本栄養治療学会学術集会JSPEN2026,2026年2月14日
ご紹介いただく先生方へ
入院(入所)
長期・短期とも入所を必要とする方々の受け入れに向けて努力し、地域の皆様が当科に期待される役割を果たしていきたいと考えています。引き続き医療・療育両面から入所者の皆様を支え、さらなる質の向上を目指します。
外来
長期・短期の新規入所受け入れに向け、重症心身障害児(者)外来の受診者数増加を目指しています。小児神経外来でのてんかん診療も、さらに充実させていきたいと考えており、令和7年度より外来枠も増やしております。
連携協力医の先生方におかれましては、該当の患者さんがいらっしゃいましたら引き続きご紹介いただけますと幸いです。
受診の流れ
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重症心身障害児(者)の長期・短期入所の場合
長期・短期のいずれの入所をご検討いただいている場合も、まずは当院療育指導室へご連絡ください。(TEL:0279-23-1010(病院代表))
必要な書類・手続きや、その後の受診への流れ等についてご案内いたします。 -
小児神経、てんかんの場合
主治医の先生に紹介状を作成いただいたうえで、紹介元医療機関より当院地域連携室へご連絡ください。(TEL:0279-23-0626(地域連携室直通))
外来の予約をお取りすることができます。

