泌尿器科について
『北毛の砦』を合言葉に地域の皆様が安心して治療を受けられるよう幅広い泌尿器科治療を提供します
診療内容について
泌尿器科は腎臓・膀胱・前立腺・尿道といった尿の通り道に発生する疾患を診断・治療する科です。高齢化社会に突入した昨今、泌尿器科疾患罹患率は上昇しています。特に、市の検診や健康診断で異常を指摘された方や、前立腺肥大症による排尿障害、尿路結石症などでお悩みの方は少なくないと思います。2023年より当院でも開始したロボット支援手術をはじめとして、幅広い泌尿科疾患に対応できるよう日常診療に当たっています。
取り扱っている疾患について
- 泌尿器科領域の癌(前立腺癌、膀胱癌、腎盂・尿管癌、腎癌、精巣腫瘍、陰茎癌、尿膜管癌など)
- 尿路結石(尿管結石、腎結石、膀胱結石など)
- 尿路感染症(腎盂腎炎、前立腺炎、精巣上体炎、膀胱炎など)
- 排尿障害(尿道狭窄、前立腺肥大症、過活動膀胱、神経因性膀胱など)
- 上部尿路閉塞(腎盂尿管移行部狭窄症、水腎症)
- 真性包茎、亀頭包皮炎
- 急性陰嚢症
- 尿膜管遺残症
- 外傷(腎・膀胱・尿道・精巣などの外傷)
当科の特徴
前立腺癌
最近我が国では高齢化に伴い前立腺癌が増加しており、前立腺がん検診による前立腺の腫瘍マーカーであるPSA(前立腺特異抗原)測定を積極的に推奨しています。
PSA値の基準値は、全年齢で4.0ng/ml、あるいは年齢階層別基準値(50~64歳:3.0ng/ml以下、65~69歳:3.5以下、70歳以上:4.0ng/ml以下)となります。皆様が健康診断や前立腺がん検診などでPSAを測定された際、二次検診が推奨される異常値であれば、当センターにお越しください。


受診後、PSA再検、前立腺触診、超音波検査などを施行の後、総合的に前立腺生検が必要な方を選択します。前立腺生検については当センターでは腰椎麻酔下に2泊3日の入院で施行しています。生検前にMRIを撮影し、最低でもcognitive fusion下生検(術者がMRI画像の異常部位をイメージに入れて採取する手法)を施行すると癌検出率が60%程度に上昇したといった報告があります。現在、当センターでは前立腺体積と年齢により設定した系統的な多数箇所生検方法に加えて、MRI画像と超音波画像を同期して癌が疑われるターゲットを追加で採取するMRI/超音波(US)fusion下生検と呼ばれる先進的な方法を行っています。この生検により前立腺癌検出率が一層改善しました。
癌が発見された場合には、造影CTや骨シンチグラフィーなどによる複数の画像診断装置を用いて病期診断(ステージ診断)を行い、個々の病状に合わせて、手術(前立腺全摘術)、放射線療法、ホルモン療法を単独、あるいは組み合わせておこなっています。
前立腺全摘術は当センターでも2023年よりロボット支援手術を開始しています。ロボットを用いることで安全・精密な手術を行えます。出血量も少なく10日程度の短期入院での治療を施行しています。放射線療法は、当院放射線治療科と連携し、高齢者にも提案しやすい低侵襲な治療を目指しています。なお、放射線科からの支援により合併症としての直腸出血を予防する処置も施行しています。全身療法としてホルモン療法や化学療法・遺伝子治療も積極的に行っています。
前立腺肥大症
前立腺は男性にのみある臓器で、精液の成分を産生しています。膀胱の出口にあり、その中心を尿道が通るため、排尿にも大きく関わる臓器です。加齢に伴いほぼすべての男性は前立腺が肥大します。その中で頻尿や排尿障害などの症状が出てくると前立腺肥大症と判定します。まずは排尿日誌や残尿測定、尿流量検査などを行い排尿障害の程度を評価します。
基本的に内服薬で治療を行いますが、無効な場合は、内視鏡(膀胱鏡)を用いて前立腺を切除する経尿道的前立腺切除術(以下:TURP)を行っています。この手術は40年以上前からある、泌尿器科の基本的な手術ですが、手術時間は1時間以上を要し、術中術後に出血します。また、100cc以上の大きな前立腺(正常は20cc程度です)では手術が難しくなります。
TURPの弱点を克服するため、2025年9月よりWater Vapor Energy Therapy(WAVE治療)といった、水蒸気を注入し前立腺組織を壊死させ、縮小させることで肥大症を治療する低侵襲な手術を当院では導入しました。この手術は20分程度で行うことができ、出血はほとんどありません。90歳の患者さんでも施行可能で、この春から体積150ccまでの前立腺であれば手術適応があることが認められました。全国から注目されている手術であり、排尿障害でお困りの方はご相談下さい。

膀胱腫瘍
膀胱の腫瘍はその9割以上が悪性(膀胱癌)であると言われています。膀胱癌は泌尿器系の癌の中で前立腺癌に次いで頻度の高い癌です。初期の症状として血尿がみられる事が多く、放置すると頻尿や排尿時痛などの症状も起こります。
膀胱癌は治療法から大きく2つのタイプに分かれます。内視鏡的切除が可能な非筋層浸潤癌と膀胱摘出手術や抗癌剤治療が必要な筋層浸潤癌です。
初診の患者さんに膀胱鏡やCT等を行い、初回治療の方向性を決めます。ステージ4などの転移を認めるほどの進行ではない場合は、基本的に診断と治療を兼ねた経尿道的膀胱腫瘍切除術(以下:TURBT)を行います。この手術で膀胱癌の病理診断(確定診断)を行い、その結果に応じてさらに適切な治療を検討します。
非筋層浸潤膀胱癌では、TURBTの病理所見によって経過観察としたり、抗癌剤やBCGの膀胱内注入療法を併用したりすることもあります。非浸潤癌で内視鏡的に完全切除した場合でも膀胱癌は再発を繰り返しやすい性質があり外来での定期膀胱鏡検査などが必要です。
浸潤性膀胱癌の場合、TURBTのみでの根治は困難ですので、膀胱全摘除術を中心に治療の計画を立てます。進行の度合いによっては全身化学療法や放射線療法などを併用した集学的治療を行います。当科では膀胱全摘除術などの開腹手術、全身化学療法、免疫複合体療法、放射線治療を患者さんの病状に合わせて行っています。
転移などの進行を認める場合には全身化学療法を行いますが、近年、2割くらいの患者さんに根治の可能性が報告されている免疫複合体化学療法が登場しました。時に激烈な副作用が発現しますが、進行膀胱癌であっても確実に生存率が伸びつつあることを最近、実感しております。
尿路結石
尿路結石は頻度の高い疾患で、生涯罹患率は約5%といわれています。本外来では、腎臓、尿管、膀胱の尿路結石に対しての診断、治療、経過観察を行っています。
自然排石が期待できない結石に対しては、体外衝撃波で粉砕するESWLと呼ばれる方法や、経尿道的尿管結石破砕術(TUL)といった尿管鏡で結石を見ながらレーザーで砕石する治療法などがあります。
当院では膀胱、尿管から腎までのほとんどの結石に対する経尿道的な内視鏡手術(TUL)が可能で、4泊5日の日程で行っています。小さく柔らかい結石でESWLを希望される場合や、サンゴ状結石と呼ばれる非常に大きな腎結石で直接腎臓に内視鏡を入れる経皮的腎砕石術(PNL)が適応な場合などは、それらの治療が可能な施設に紹介することもあります。
尿道狭窄症
患者さんの数は少ないものの、もし罹患すると困ってしまう疾患の一つに尿道狭窄症があります。原因は本人が思い当たらない場合(特発性)や、何らかの経尿道的操作を契機として発生する場合(医原性)もあります。
狭窄が軽度でしたら、尿道からの操作で治療できることもありますが、そのような軽症例は以前、考えられていたより少ないことが分かってきました。この疾患に対して、狭い部分の尿道を切断して再吻合する「尿道形成術」と呼ばれる手術が有効であることが近年、判明しました。特に狭窄が2cm以上と長くなると、口腔内の粘膜や、陰茎包皮の一部を切り取り狭窄部尿道を拡張する特殊な方法で対応します。
「尿道形成術」は全国的に見ても施行できる病院は限られています。しかし当院では防衛科大学校のご高名な先生のお力添えを得て(https://square.umin.ac.jp/impreza/)この手術にも着手しています。群馬県のみならず、関越自動車道沿線住民の方々にこの治療を提供すべく日夜努力しています。
たむら よしみ
田村 芳美
| 役職 | 外科系診療部長 |
|---|---|
| 出身大学 ・卒年 |
群馬大学 昭和62年卒 |
| 専門分野 | 泌尿器科 |
| 認定資格 |
|
すぎの あきひこ
杉野 陽彦
| 役職 | 泌尿器科医師 |
|---|---|
| 出身大学 ・卒年 |
群馬大学 平成30年卒 |
| 専門分野 | 泌尿器科 |
| 認定資格 |
|
まつもと こうき
松本 昂樹
| 役職 | 泌尿器科医師 |
|---|---|
| 出身大学 ・卒年 |
群馬大学 令和3年卒 |
| 専門分野 | 泌尿器科 |
しみず ゆうさく
清水 湧作
| 役職 | 泌尿器科医師 |
|---|---|
| 出身大学 ・卒年 |
群馬大学 令和4年卒 |
| 専門分野 | 泌尿器科 |
外来担当医表
| 時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 |
|---|---|---|---|---|---|
| 午前 | 清水 湧作 | 杉野 陽彦 | 松本 昂樹 | 清水 湧作 杉野 陽彦 |
杉野 陽彦 |
| 田村 芳美 | 田村 芳美 | 田村 芳美 | 田村 芳美 | 松本 昂樹 | |
| 藤塚 雄司※1 (群大) |
|||||
| 午後※2 | 松本 昂樹 | 清水 湧作 | 田村 芳美 | 清水 湧作 杉野 陽彦 |
杉野 陽彦 |
| 田村 芳美 | 杉野 陽彦 | 田村 芳美 | 田村 芳美 |
- 1 10時〜12時までの診療となります。
- 2 予約診療となります。
セカンドオピニオン担当医表
| 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 15:30〜 | 田村 芳美 |
学術実績
著書
2022年
田村芳美. CQ9 腎外傷に対する非手術療法(nonoperative management: NOM)の適応と方法は? 合併症の種類と頻度, 診断, 治療は?, CQ10 腎外傷に伴う尿溢流はドレナージが必要か? 泌尿器外傷診療ガイドライン2022年版, 日本泌尿器科学会編, 医学図書出版; 2022 Aug 22; 43-47, 48-50, ISBN-10: 4865174877, ISBN-13: 978-4865174878
英文論文
2021年
Shimizu N, Hasumi M, Muramatsu K, Tsuji Y, Takaku Y. Avelumab plus axitinib therapy for renal cell carcinoma in a patient with pulmonary alveolar proteinosis: A case report. Urol Case Rep. 2021 Sep 9;39:101843. doi: 10.1016/j.eucr.2021.101843. eCollection 2021 Nov. PMID: 34540590. [e-APRIN未受講]
2023年
Akio Horiguchi, Masayuki Shinchi, Kenichiro Ojima, Kazuyoshi Iijima, Koji Inoue, Takamitsu Inoue, Naoyuki Kaneko, Akihiro Kanematsu, Daizo Saito, Tatefumi Sakae, Toru Sugihara, Kazuhiko Sekine, Tetsuya Takao, Tadashi Tabei, Yoshimi Tamura, Tomohiro Funabiki, Yusuke Yagihashi, Masato Yanagi, Satoru Takahashi, Yosuke Nakajima. The Japanese Urological Association's clinical practice guidelines for urotrauma 2023. International journal of urology. 2023 Nov 6. doi: 10.1111/iju.15331. Online ahead of print.
和文論文
2022年
田村芳美. 球部尿道狭窄に対する狭窄部切除・尿道端々吻合術. 臨床泌尿器科 76(1):10-13, Jan 2022
2023年
田村芳美, 石尾典子, 清水孝倫, 根井翼. 落ち着け, 慌てるな! 泌尿器外傷マネジメント. 腎外傷 腎外傷の治療. 臨床泌尿器科(0385-2393), 医学書院 2023 Dec; 77(13): 1080-1086. 電子版ISSN: 1882-1332, 印刷版ISSN: 0385-2393
学会発表
2022年
辻裕亮, 宮尾武士, 田村芳美, 岡部和彦, 神保進. 65歳で発症した精巣捻転症の1例. 第89回日本泌尿器科学会群馬地方会, 群馬県前橋市, Feb 19, 2022
田村芳美. ガイドラインから学ぶ泌尿器科領域外科的緊急対応 腎尿管外傷. JUA (The Japanese Urological Association) WEBINAR第16シリーズ No2, 日本泌尿器科学会, 2022 Aug 1-31. WEB開催
辻裕亮, 杉野陽彦, 佐々木隆文, 宮尾武士, 田村芳美, 鈴木司, 岡部和彦, 久保田裕. 経尿道的前立腺切除術を契機に発見されたstromal tumor of uncertain malignant potentialの一例. 第90回日本泌尿器科学会群馬地方会, 群馬, Jun 18, 2022. 現地開催
2023年
田村芳美, 根井翼, 杉野陽彦, 辻裕亮, 金山あずさ, 堀口明男. 渋川医療センターにおける尿道形成術の治療成績. 第20回泌尿器科再建再生研究会, 札幌, Jun 3, 2023. 現地開催

